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【リレーエッセイ9】


虎が飛び越える長江のV宇谷~虎跳峡~

西川政利(和歌山県立桐蔭高等学校非常勤講師)


虎跳峡
▲虎跳峡入場券

 2000年の海外巡検報告冊子に、私は「再会!メコン」とのタイトルで報告を示している。中国はもとより、東南アジアの数カ国を貫流するメコンについて感動があったのは当然で、その内容である。しかし、この巡検で圧倒されたのは中国の大自然、特に長江の偉大さであった。巡検の中盤にさしかかり、世界遺産や少数民族の実態など研修を深めていったが、今一つ強烈な印象が足りなかったようにみえた。しかし、それはすぐに解消した。雲南省中甸市に向かう途中に「虎跳峡」見学。2台に分乗したマイクロバスは大きく上下しながら悪路を目的地まで運んでくれる。巡検でのバスの座席は最後部の指定席。バスの天井に頭を打ちながら、ガードレールのない悪路で、下を見ればまさに千尋の谷。泣きながら・笑いながらの往路である。しかし、当時の旅行ガイドには僅か200宇程度でしか紹介されていない。私も初めは黒部峡谷を大きくしたようなものだろうと思っていたが、車窓からの風景でその考えは吹っ飛んでいった。それは、5,000mを越える「玉龍雪山」と「哈巴雪山」の間を侵食し、全長15km、高低差3,000mの大峡谷。500段(?)の階段を曲がりながら下りると大轟音をたてながら激流が下る。周りにはちょっとしたビルほどの巨岩が私たちを見下ろしていた。その巨岩も押し流してくるそのエネルギーは?その圧倒する水量は?ただただあきれるほどである。行程上ゆっくり出来なかったのが残念であったが、ぼーと眺めていたかった。そのうち巨大な虎が大峡谷を跳んで悠々と立ち去って行くであろうと想像した。

 「出会い」を大切に!

 海外巡検や国内でのフィールドワークにおいて、その国や地域の歴史と生活・大地形・民族・動物や植物との出会いが、私達を人間性豊かなものに育ててくれる。そして教師としての貴重な財産となる。教員生活晩年に入会したが、もっと早くから活動すべきだったと後悔している。地理の授業は、実際に自分の目で確かめて生徒に実践していくべきだと今も思っている。若い先生は特に入会して一緒に学び合いましょう!思ってもいない出来事に遭遇する事もあります。台湾では、阿里山鉄道の一つ前のボックスに巨岩が襲撃する。一つ間違えば「死」に直面する事もありました。また広州駅では、凄まじいスコールに出会い、電話ボックスで雨を凌いだ事も良い思い出となっています。なにより会員の先生方が一番!何事も親切に、気さくに、丁寧に教えてくれます。