【リレーエッセイ1】
新企画「まち歩きシリーズ」への期待
西岡尚也(琉球大学教授)
近ごろ中高年による「登山」「トレッキング」「ハイキング」がブームです。デパートの登山用具売り場や、書店の「中高年登山コーナー」などは常に「売れ筋」になっています。さらに登山よりもっと気軽に参加できる「旅」も盛んで、NHKテレビ「趣味悠々」では、「地形図片手に日帰り旅」(2008年9月~10月放送)が、好評を得ました。これらの「登山」や「小旅行」に共通するのは「歩く」という人間の行為を尊重している点だと思います。もともと歩くことは「楽しいこと」なのです。
▲出発点、JR西九条駅前にて
さて私たち研究会も、これにあやかろうというわけではありませんが、東出修一さん(幹事)を中心に、新企画「まち歩きシリーズ1」を2008年11月1日(土)に実施しました。通常のバス巡検でなく徒歩が中心(最後に電車利用)ですので、事前申し込みを省き「現地集合」としました。したがって何人の方が参加されるか、「不安」でしたが…。こんな心配もなく出発のJR大阪環状線西九条駅には、30 人もの参加者が集まりました。
ふだん通ることのない大阪市中之島西地区を、しかも徒歩で歩くというコースです。中には80歳を越えられている方も参加されていましたが、天候にも恵まれて元気に最後まで歩かれました。皆さんの「健脚ぶり」には完全に脱帽です。
▲終点、京阪天満橋駅前にて
私が初めて旧FHGの野外巡検に参加したのは、大学1年ですのでもう30年以上前になります。「エクスカーション」や「フィールドワーク」は、通常「野外調査」と訳されますが、私には「野外巡検」の方が馴染みがあります。(ただし、「巡検」は、「巡視」などとともに軍隊用語であるとされ、敬遠される事もありますが…)
なぜか「巡検」と聞くだけで心がワクワクし「血が騒ぐ」思いがします。ジョギング愛好者には「ランニング・ハイ」状態という脳が快感を感じる瞬間がありますが、私の脳はこれと同じで「巡検・ハイ」になるのです。理屈ぬきで「楽しい」と脳が感じて、条件反射的にα波やドーパミンが出ているようです。さらに巡検後の懇親会で語り合うことも楽しみです。いつも巡検から帰ると「元気になっている」自分自身に気がつきます。
本研究会は旧FHG(故・藤岡謙二郎先生により1966年設立)からニューFHGと引き継がれた長年の伝統を持つ「巡検の老舗」です。毎回「現場を訪ねる」ことの重要性を経験しています。以来、国内・海外と数多くの巡検に参加し、本当に多くのことを学んできました。今後も従来の国内・海外巡検と同様「まち歩きシリーズ」に期待しています。もちろん新入会員も大歓迎です。みなさんもいっしょに「巡検」に出かけませんか。