第20回巡検
朝倉氏遺跡と福井の伝統産業を訪ねて
【日 時】 1999年5月23日(日) 巡検ルート地図(別窓で開きます)
【案内者】 吉川博輔 岸本雅行 海道静香 山田 誠 金坂清則 辰己 勝 関口靖之
【参加者】 61名
今回の巡検は、福井市郊外にある戦国時代の越前を支配した朝倉氏の城下町跡を見学した後、丹南地区(武生盆地を中心とした地域)の代表的伝統産業である越前漆器・越前和紙を見学するコースを組み立ててみました。
▲一乗谷朝倉氏遺跡
朝倉氏遺跡は福井市街の東南約10kmの一乗谷にあり、戦国大名朝倉氏の5代103年にわたる栄華が偲ばれる城下町の跡です。ここは南北5km、幅500mほどの一乗谷川に沿った小さな谷間で、山間部には山城、麓には土塁で囲まれた居館・武家屋敷・町星などが密集していました。天正元年(1573)、織田信長との戦いに敗北して朝倉氏は滅亡、一乗谷は戦火によって廃墟と化しました。その後400年近くひっそり埋もれていましたが、昭和42年から発掘調査が進められ、史跡公園として整備されてきました。朝倉氏遺跡は、発掘調査によって明らかにされた全国でも唯一の戦国城下町の跡であり、昭和46年に国の特別史跡に、平成3年には庭園が特別名勝にも指定されました。現在、武家屋敷・町屋の一部が復元され、多くの観光客が訪れ賑わっています。特に、山腹にある湯殿跡庭園からの眺めは素晴らしく、朝倉氏遺跡の全貌が望めます。庭園を散策した後、近くのレストラン朝倉亭で昼食をとる予定です。
午後は一乗谷から山ひとつ隔てた鯖江市河和田地区の越前漆器会館へ向かいます。鯖江市はいわずと知れた眼鏡枠の街、わが国生産の9割を占める大産地です。眼鏡とともに全国に知られているものに「河和田塗り」すなわち越前漆器があります。越前漆器の起源は何と1400年前にさかのぼると言われており、河和田地区全戸数の3分の1にあたる約400戸が生産に関わっています。この越前漆器会館で漆器の製造に関するビデオを見たあと、伝統工芸士の方にお話をしていただく予定です。
▲卯立工芸館の紙漉き
次に今立町の和紙の里を訪れます。今立町五箇地区は古くから越前和紙の産地として有名で、特に上質の奉書・鳥の子などの生産においては高い評価を得てきました。わが国最初の紙幣と言われる「福井藩札」や明治新政府が発行した「太政官金札」も五箇地区で漉かれ、お札のふるさととも言われています。緑と水があふれる和紙の里通りには資料展示館や紙漉見学館などが並び、伝統工芸士の実演を見ることができます。また、希望される方は、和紙づくりを体験して頂きます。
最後に越前の国府が置かれ紫式部が暮らしたこともある古都、武生市内を散策します。武生市は伝統産業の越前打刃物の産地ですが、今や電子部品を中心としたハイテク産業が盛んです。福井県一の工業都市ですが、戦災に遭わなかった市街地はいたるところ古い町並が残っています。
なお、福井県はカニとともに「越前おろしそば」が知られています。ぜひご賞味下さい。多数の会員の方々のご参加をお待ちしております。
【岸本雅行】