第11回巡検
関西国際空港と日根荘―泉州の新旧景観をめぐる―
【日 時】 1994年12月4日(日) 巡検ルート地図(別窓で開きます)
【案内者】 小林健太郎 山崎俊郎 朝倉福温 水田義一 木谷篤孝 正木久仁 出田和久 原 秀禎 額田雅裕
【参加者】 78名
この夏は記録づくめの暑さでしたが、皆様はいかがお過ごしでしたでしょうか。
この秋の巡検は、例年より1週間遅くなりますが、関西国際空港が開港し注目を集めている泉州地域をめぐります。大阪湾岸のウォーターフロント開発の現況を、阪神高速道路湾岸線の車窓から展望しながら、一路関西国際空港へと向います。関空では、ターミナルビルを雑踏のなか?見学致します(迷子にならぬようお願いします)。日本最初の本格的な24時間運用可能空港として泉州沖を埋立てて建設され開港したのですが、現在は滑走路1本の1期工事完成の段階です。それでも事業費は1.5兆円近くにもなりました。レンゾ・ピアノ氏設計のターミナルビルの形態を連格橋から見ながら、関空に入ります。まず、国際線と国内線のフロアを上下に立体配置し、ひとつのビルに収めたPTBの特色などを見学した後に、開港までのプロセス等について関西国際空港株式会社の方のお話を伺い、航空機の発着の様子も見学します。
折角ですから、昼食は関空でといきたいのですが、とにかく随分と結構な値段のようですので、空港島から対岸の泉佐野に渡ってからにします。
▲日根神社
午後からはぐっと趣をかえて荘園遺跡として初めて国の史跡指定を受けることになった日根荘遺跡の中心である日根神社、開発に重要な役割を果たした井川用水などを見学したいと思います。有名な鎌倉時代末期の「日根野村絵図」、「日根野村近隣絵図」(ともに宮内庁書陵部蔵)に描かれたところです。ただ単に遺跡を見学するというのではなく、現にそこで生活があるわけですから、開発の波に対して、どのようにして貴重な中世の歴史的景観を守るのか、歴史地理学の現代的課題について思いをめぐらせることにもなるのではないでしょうか。
最後は、ずっと時代を遡って弥生時代へと思いを馳せていただきます。面積が10万平方メートル近くもある弥生中期の環濠集落池上曽根遺跡のR26沿いの一画には、1991年に府立弥生博物館が開館していますので、この機会に見学し、新知見の多い弥生時代に関する最新の知識を吸収して下さい。
そして、頭ばかり一杯になっても健康によくありませんので、バランスをとるべく天王寺で楽しく懇親会と参りたいと思います。奮って御参加下さい。
【出田和久】