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第13回巡検

銅鐸・石部宿・信楽の歴史地理

【日 時】 1995年12月3日(日) 巡検ルート地図(別窓で開きます)

【案内者】 小林健太郎 小林 博 井戸庄三 池田 碩 高橋誠一 辰己 勝

【参加者】 55名


 今年の春は、亀岡盆地への巡検の後、FHGを創設された故藤岡謙二郎先生の御逝去十周年追悼会を開催しましたところ、75名にも上る会員の皆様にお集まりいただき、奥様およびご令息の換太郎氏を囲んで有意義なひとときを持つことができました。また、夏の海外巡検は山田誠先生を団長としてカナダで実施され、35名の参加者を得て大きな成果をあげ、無事終了しました。

野洲銅鐸博物館
▲野洲銅鐸博物館

 今年の秋の巡検は、滋賀県の南東部を巡るコースを設定しました。まず訪問するのは野洲町立歴史民俗資料館として建設された銅鐸博物館です。野洲町の小篠原大岩山では、明治14年に14個の銅鐸が発見され、さらに昭和37年には東海道新幹線工事の土砂採取の際に10個の銅鐸が出土して、合計24個にも達しました。同じ丘から見つかったものとしては日本一で、最大の銅鐸や近畿・東海地方の特徴的な銅鐸が含まれており、銅鐸博物館ではこれらの銅鐸をはじめ、銅鐸の作り方や用途、野洲町の移り変りなどを見学します。

 次の見学地は石部町歴史民俗資料館で、ここは石部宿場の里と東海道歴史資料館とで構成されています。石部は江戸時代「京発ち石部泊り」といわれた東海道の宿場町でしたが、現在では当時の面影ははとんど残されていません。そこで宿場の旅籠や商家、茶店や郷蔵などを復元して展示しているのが石部宿場の里で、宿場町の一端を追体験することができます。東海道歴史資料館には石部宿の復元模型や興味深い資料が展示されています。

紫香楽宮跡
▲紫香楽宮跡

 水口で昼食・総会の後は信楽へ向かい、まず紫香楽宮跡を見学します。ここは昭和元年に紫香楽宮跡として国史跡に指定されましたが、昭和5年から実施された発掘調査によって寺院遺構であることが確認されたもので、現在も多くの礎石が整然と並んでいます。

 これに替わって近年注目されているのが宮町遺跡で、ここからは宮殿クラスの柱根がいくつも発掘され、宮跡の中心部である可能性が強くなっています。

 滋賀県立陶芸の森には創作研修館と信楽産業展示館および陶芸館とがありますが、今回は信楽焼の歩みと現代の陶器産業を紹介している信楽産業展示館のみを見学します。信楽町の中心部にある伝統産業会館の周辺には信楽焼の販売店も集まっていますので、お土産をお求めの方はどうぞご利用ください。

 最後は瀬田駅前で懇親会です。多くの方々のご参加をお待ちしています。

【小林健太郎】


巡検報告

09:30 JR野洲駅に集合。小林会長の挨拶と案内者の紹介の後バスに乗車。
09:48 出発。国道8号線を経由して野洲町銅鐸博物館へ。
09:56 野州町銅鐸博物館に到着。銅鐸の造り方や広がりなどを展示した第1展示室、野洲町出土の銅鐸を展示した第2展示室、野洲町の歴史を展示した企画展示室を自由に見学した後、弥生の森歴史公園で記念撮影。
10:40 銅鐸博物館を出発し、希望が丘文化公園を経由して石部町歴史民俗資料館へ。
11:06 石部町歴史民俗資料館に到着。東海道石部宿の旅籠や商家、茶店、農家などを復元している石部宿場の里、および石部宿を中心に近世東海道の資料を展示している東海道歴史資料館を見学。
11:50 石部町歴史民俗資料館を出発し、国道1号線を経由して水口町へ。
12:20 水口町のホテル寿苑に到着し、大広間で昼食と総会。総会では第7回海外巡検べトナム・カンボジアのコースや見学地について説明があった。
13:10 ホテル寿苑を出発し、信楽高原鉄道に沿って国道307号線を信楽へ。
13:30 紫香楽宮跡に到着。金堂跡北側の掲示板前で高橋誠一先生から紫香楽宮跡の調査経過や発掘された遺跡の性格、宮町遺跡との関連などについて説明があり、池田碩先生から信楽高原の地形について説明があった。
14:08/td> 紫香楽宮跡を出発し、宮町盆地へ。近年、紫香楽宮関連の建物跡と推定される掘立柱跡が発掘された宮町遺跡の所在地であるが、訪問時には発掘が行なわれておらず、遺跡の所在地を車中から観察したのみで、滋賀県立陶芸の森へ向かった。
14:28 滋賀県立陶芸の森へ到着。現代陶芸を代表する内外の作品を展示している陶芸館、信楽焼の歩みと現代の陶器産業を紹介している信楽産業展示館、陶芸研修施設の創作研修館とで構成される広大な施設であるが、時間的制約から信楽産業展示館と登り窯・穴窯のみを見学した。
15:02 滋賀県立陶芸の森を出発し、信楽町役場前の駐車場へ。
15:06 信楽町役場前で下車。徒歩で信楽伝統産業会館へ向かい、天平時代の焼物から近世・近代の陶器までの展示を見学した後、思い思いに周辺の陶器店をまわり、お土産を買い求めるものも少なくなかった。
16:00 信楽町役場前を出発し、大戸川沿いの渓谷を田上盆地へ下り、瀬田丘陵を越えて瀬田駅へ。
16:45 瀬田駅前に到着し解散。
17:00 瀬田駅前のホテルニューサイチ・アネックスで恒例の懇親会を開催。34名の参加者があり、約2時間にわたって大いに盛り上がり、懇親を深めた。